序章 – 経済なき、まちづくりは、寝言である。

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 私は地域づくりに取り組む前に、100以上に及ぶ国内外の地域づくりの事例を、2008年から2011年まで3年間かけて見て周りました。その中で最も感動したのは、ドイツのフライブルグです。

 スイスのバーゼルにほど近いドイツ南部の都市・フライブルクは、廃棄物の抑制や景観保全、太陽光などの再生可能エネルギーの利用促進など、環境保護に関して先進的な取り組みを行っています。

日本では『環境首都』と呼ばれることもあります。

伝統や文化を次世代に伝える大切さを学ぶ

 私はフライブルクで、その背景には「先代から引き継いだ伝統や文化を次世代に伝えていくことは当然のことである」という考え方があることを教えてもらいました。

そして、それを持続していくためには地域経済、すなわちお金が重要だということを再確認しました。

お金は、地域経済の血液のようなものです。

 お金が滞っていると、たちまち町に栄養が行き届かなくなってしまいます。フライブルクは、持続可能な町の実現のためにお金が重要だということをしっかりと捉えていて、地域ビジネスを行う小売店などを保護し、活性化する政策も実施しています。

道徳なき経済は罪悪であり 経済なき道徳は寝言である。

「道徳なき経済は罪悪であり 経済なき道徳は寝言である」とは、江戸時代の思想家・二宮尊徳の言葉ですが、私はこれを地域づくりに置き換え、「経済なきまちづくりは寝言である」として、フライブルクの取り組みを引き合いに出しながら、地域づくりでのお金の重要性を日々伝えています。

補助金「漬け」はだめ

 そんな重要なお金の話ですが、私は、日本の地域づくりに関する多くの事業がハード(施設整備など)に偏っており、整備後の経営が立ち行かなくケースを数多く目にしてきました。

補助金に頼りすぎる、補助金「漬け」になっている状態です。
 国や自治体から補助金が出ると、事業者同士の補助金獲り合戦が始まります。事業が終われば、事業者は報告書をきれいにまとめ、昨年の事業は、どうなったのか検証されることもないまま、また次年度の補助金を申請しいに行きます。

このような負のスパイラルが全国各地で起きていることに、私は衝撃を受けました。

896の市町村が消えてなくなる

 2013年に地方創生会議の人口減少問題検討分科会が発表したデータでは、今後の少子化と人口減少はさらに加速し、その影響で存続が危ぶまれる市町村は896(全国の49.8%)にものぼることが指摘されています。
 私は補助金のことを頭ごなしに否定しているのではありません。

 補助金は、上手に活用すれば事業の推進力になります。しかし補助金に依存してしまう「漬け」の状態になると、補助金が途絶えてしったが最後、せっかく生まれた事業も終わってしまいます。
 この負のスパイラルを打ち破り、地域に稼ぐ力を構築する手法が「1勝99敗のシリコンバレー流の地域づくり」です。これからその手法について詳しく説明します。

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ABOUTこの記事をかいた人

Junichi Saito

地域ビジネスプロデューサー/慶應義塾大学 非常勤講師。「地域ビジネスで、世界を変える」を使命に、全国で人財育成を通して、地域ビジネス創出事業を展開。ガイアの夜明け、NHK特集、日経新聞他メディア掲載多数