干し芋が創る新しい未来(1)

MACHI LOG編集部


MACHI LOG staff

茨城県・ひたちなか及び東海地域で生産されるほしいもを、あらゆる角度から分析・研究し、ほしいもを通して人の営みと環境を考え、未来へと繋ぐ「ほしいも学校」プロジェクト。このプロジェクトに懸ける想いを、ひたちなか商工会議所の小泉さん、そして、幸田商店の鬼澤社長にうかがった。

ほしいも学校にたどり着いたのは、紆余曲折の末だった

平成19年、経済産業省が立ち上げた「地域資源活用プログラム事業」を見かけた、ひたちなか商工会議所の小泉さん。

「地域資源活用プログラム事業」とは、地域産業資源を活用した新商品・新サービスの開発、販路開拓に取り組む事業に対して、経済産業省から認定を受けると、補助金、融資制度、課税の特例等の各種支援施策を受けることができる制度。

「これだ!」とひらめき、ほしいもを含めた地場産業活性化のため、事業として第一号認定を目指して動き出した。

小泉さんはほしいも産業に携わる人らすべてから同意を得て、動き始めるのでは遅い、そう感じていた。

以前参加していた研究会に出席していたメンバーを思い出し、ほしいも産業に関わる人たちの中でも「この人なら・・・」と見込んだ、若い経営者3人に小泉さんは白羽の矢を立てた。

白羽の矢が立てられた一人、ほしいも作りを生業とする幸田商店の鬼澤社長は、小泉さんからの誘いを受けるまで、ほしいも業界には未来はない、と感じていた。 こうした危機感から生まれたアイディアや意見を出しても、古い体質の業界には受け入れられにくく、鬼沢社長の意見が採り入れられることはほとんどなかったのだ。

小泉さんは、現状を打破するためには変化を歓迎する人たちとのタッグが必要だと直感的に感じていたのだろう。

その直感と若手経営者3人のタッグは功を奏し、第一号認定を無事取得して、事業は動き始めることとなった。

しかし、ほしいもをアンチエイジングなどのための機能性食品として新商品開発することを望んでいた政府側と、ほしいもそのものの価値を高めるような取り組みを思い描いていたひたちなかの人々の思惑は食い違い続けた。このまま続けてもうまくいくはずがない、小泉さんはそう感じ始めていた。

ほしいもを通じて、宇宙や未来を見る

小泉さんは焦りを感じていたが、現状から抜け出る方法も思いつかぬままに、一緒に事業を立ち上げたメンバーの一人に相談したところ、「佐藤卓さんというデザイナーに相談してみよう」ということになる。

佐藤氏の事務所を訪れた小泉さんらは、これまでの取り組み、ほしいもにかける思いを佐藤さんにぶつける。2時間ほど話した頃、佐藤氏はさらさらと手元にあった紙に「ほしいも学校」と書いたところから、すべては始まった。

度重なるひたちなかの人々と佐藤さんとの話し合いの中で、佐藤さんはこう語りかけた。「ほしいもを通じて、宇宙や未来を見るプロジェクトにしよう」と。

「うまくいかない現実を目の前にしていると、過去に思いをはせることは簡単にできても、未来に思いをはせることは難しい」と、小泉さんや鬼澤さんは、そのときこの言葉の意味を理解することは難しかったという。

しかし、「ほしいもに未来を見る」というこのプロジェクトの最終形を佐藤さんは見せ続けてくれている。ぼんやりとであってもやっていくうちに、ほしいも学校というコンセプトも、一人一人の考えも進化を見せ始めるのだ。

この他にも佐藤さんのデザイン哲学ともいえる「かざらない方がインパクトがある」ということ、「説明を書きすぎるな」ということ、など、ミーティングの度に目からうろこが落ちるような新しいものの見方に小泉さんらは触れていくことになり、伝えたいことを伝えるための方法を手探りで見つけ出していくこととなる。

ほしいもの解剖×一流デザイナー×地場産業活性=ほしいも学校

「ほしいもに未来を見る」。その手始めとしてほしいもに関する本を作ろうというプロジェクトが開始する。

一体ほしいもの「何」について本にまとめたのだろうか。

何でもそうだが、ひとつのものはいろんな要素から成り立っており、ほしいもだって例外ではない。いざ調べ始めてみると、ほしいもにまつわる研究は広範囲に及んでいる。

土質、水、気温や気圧など気象条件や、当然のことながら、さつまいもの育て方、育てる際に使う農業肥料や農薬に至るまで幅広い。そして、こうしたさまざまな要素の好条件が整って、はじめておいしいほしいもが作られるのだ。

こうしたほしいもを構成する全ての要素をまとめ、完成した『ほしいも学校』。ほしいもにまつわる、歴史、パッケージ、ほしいもの味、形からほしいもが育つ環境に至るまで、丹念に調べ上げられており、まさに余すことなくほしいもについて語られた本だ。

実はほしいも商店を営む鬼澤社長にとっても、本作りという機会を得て、ほしいもについてインタビューしたり、研究所、大学などを訪れたことは、新たな発見の連続だったという。『ほしいも学校』という一冊の本を作り上げるプロセスの中で、身近に存在するほしいもについて、徹底的に知ることになったのだ。

佐藤卓氏はデザインの対象について知らないことを徹底的に知り、明らかにしていく。そのプロセスは実に解剖のようでもある。ただ、おしゃれなもの、格好いいものでパッケージングして、世の中に出すのではなく、既にそこにあるものの価値を徹底的に掘り下げるのだ。

佐藤氏がほしいもに施したデザインは、パッケージのデザインを超え、ほしいもに関わる人々にビジョンを提供し、一丸となってほしいもの価値を発見し掘り起こすプロセスそのものだった。


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